「ものづくり立国」の復活・発展のために
“FEEL & Re-Design”
日本の製造業の強さを表現する“ものづくり”。この言葉には、日本の製造業が集約型の単純労働ではなく、製造、技術・技能、そして、それに携わる人々をも包含した高い精神性を有したものであるという思いが込められている。
これまでも科学技術や製造技術の発展によって“ものづくり”は進化を遂げてきた。しかし、今後、我々の想像を上回るスピードで“ものづくり”のあり方が変わっていくと予想される。例えば、3 次元プリンタの出現もそうである。クリス・アンダーソン著「MAKERS~21 世紀の産業革命が始まる」にもあるように、アイデアとラップトップさえあれば、誰もが自宅で“ものづくり”できる時代になりつつある。実際、世界中で「個人による自由な“ものづくり”するための実験工房」(ファブラボ)やプリントサービスが拡がっており、その進化はとどまることを知らない。
委員会では、こういった目前で起きているパラダイム・シフトをとらえながら、まず、日本の“ものづくり”の歴史を振り返り、これまでの強みが何であったのかを再検証した。その上で、日本の“ものづくり”が、持続可能・循環型社会、超高度情報化社会、地球規模の人口増・省資源社会、長寿・高齢化・介護社会の本格的到来及び世界的な都市化の進展に伴って、さまざまな産業領域が融合することが求められるなどの新たに出現する社会ニーズに先頭に立って応えていき、更には、グローバル競争にも打ち勝って、日本が「ものづくり立国」として成長・発展していくための方策を研究し、提言することを目的に活動を行った。
“ものづくり”に関する議論は、実に多くのところでなされており、課題並びに対策案は出尽くしている感があるが、委員会では『デザイン力』という言葉をキーワードに据えて改めて議論を行い、単なる“あるべき論”ではなく、自らが実践していくための具体策を提言すべく 2 年間取り組み、3つの提言と5つのアクションプランにまとめるに至ったが、これらを自らの行動原理として具体的に実践していくことにより、世界の、日本の、そして、関西の成長・発展に資していく所存である。
2014年1月
一般社団法人 関西経済同友会
技術とデザイン力-ものづくり強化委員会