「関西広域連合」を進化させ、「関西州」を目指せ
2010年、関西では、地方自治体として「関西広域連合」が誕生し、府県をまたぐ広域業務に一定の成果を挙げてきた。しかし、府県の権限を持ち寄る現在の組織や仕組みでは、機能を発揮するのに限界がある。とりわけ、府県の壁を越えた広域的なシナジー効果を発揮すべき産業振興政策を十分に打ち出せていないことに対して、その打開に向けては、政策決定に関する現状の権限や責任の抜本的な見直しが必要である。また広域連合委員会委員の出欠状況を見る限り、各委員が議論を積み重ね前進している状況とは言い難く、改善が必要である。 現在、「関西広域連合」では「広域行政のあり方検討会」が設置され、広域連合の役割や執行体制も含めた今後の方向性について、活発な議論が続けられている。 メガリージョンとして世界との競争に勝ち、関西・日本が発展を遂げるためには、「関西広域連合」は、新しい形に責任と権限を拡大し、経済発展や持続可能な社会の構築等に、前向きかつ実験的に取り組むべきである。また、デジタル技術の活用による、行政の効率化、政策の実効性評価、市町村の行政サービスバックアップを主導すべきである。そして近い将来には、「関西州」を樹立し、地方分権の先駆けとなるべきである。 当会は、具体的には、次のような姿を目指すべきと考える。
①府県を存続したうえで、関西広域連合を関西州に衣替えする。 ②関西州は広域産業政策、広域インフラ整備につき、独自の調査・立案・調整・実行機能を持つ。 ③関西州は、デジタル技術を行政に高度利用し、府県・市町村をサポートして、住民サービスの向上をはかる実験のプラットフォームとなる。 ④②を満たすため、関西州と関連する地方出先機関とを融合・統合する。 ⑤関西州が権限、財源を持てるよう、議員は公選とする。首長も選挙(互選など)で選ぶ。
一足飛びの実現には困難が予想されるため、次のステップを踏むことを提唱する。 本提言が「広域行政のあり方検討会」の議論の一助となり、関西広域連合のさらなる発展に寄与することを願うものである。以上
一般社団法人 関西経済同友会
地方分権改革委員会