これからの大阪の都市魅力創造に向けて
~輝く大阪を目指せ~
関西経済同友会 芸術・文化委員会(委員長=酒井朋久 サントリーホールディングス 相談役、山本雅弘 毎日放送 相談役最高顧問)は、提言「これからの大阪の都市魅力創造に向けて ~輝く大阪を目指せ~」をまとめました。世界の各都市は都市魅力の最大化のために静かで且つ熾烈な生存競争をくりひろげており、ヨーロッパで始まった創造都市への取り組みは今やアジア各地にまで波及し、都市間競争において「芸術」「文化」の振興が重要な行政課題となっています。芸術・文化委員会では、都市の価値の向上には芸術・文化振興が不可欠であるとの観点から、これからの大阪の芸術・文化振興のあり方について提言します。要旨は以下のとおりです。
〇大阪の芸術・文化振興の問題・課題
⑴芸術・文化振興の一体的実施と情報発信の強化、そのための仕組みが必要
大阪では、多くの芸術・文化関連事業があるが、それらの情報を集約管理できておらず、事業相互の連携が不十分 ⇒ 芸術・文化事業を「官」「民」のセクターを超えて一体的に推進し発信する機能の整備が必要。
⑵芸術・文化の「消費機会の創出」、「芸術・文化市場の創出」の意思が必要
芸術・文化に関する「モノ」の構築、「ヒト」の集積のためには、芸術・文化活動の活性化とそれに伴う関連消費の拡大を通じた「雇用創出」が必要。芸術・文化の介在によって経済が循環する「きっかけづくり」が必要。
⑶芸術・文化関連の人材の集積促進が必要
芸術・文化の担い手が大阪から流出している現状を断ち切り、人材が集積する仕掛け、環境の構築が必要。
⑷芸術・文化の振興のための投資と新たな財源の確保
運営主体の異なる芸術・文化関連事業を一元管理するプラットフォーム構築には必要最小限の費用が必要。
〇【提 言】「これからの大阪の都市魅力創造に向けて ~輝く大阪を目指せ~」
【提言1】芸術・文化振興のためのプラットフォームの構築
芸術・文化を通じた都市魅力向上には、分野とセクターを超えた連携が必須であり、そのためには経済界と行政が一体となって各主体をつなぐプラットフォーム機能を持った機構が必要。具体的には、「財団法人大阪21世紀協会」(現 公益財団法人関西・大阪21世紀協会)に、新たに芸術・文化のプラットフォーム機能を設け、再び行政が加わった官民合同ALL OSAKAの文化振興体制構築の検討を関係各位に求める。
【提言2】「大阪文化フェスティバル」の定期開催化と国際化
芸術・文化が持つ創造力や波及力を通じ、大阪の都市魅力を向上する方策として、国際水準の芸術・文化フェスティバルの定期的開催を目指すことを提言する。大阪府が2017年度に開催予定の「大阪文化フェスティバル」を起点として、【提言1】で示したプラットフォームにおいて官・民が協力し、フェスティバルを定期的に開催し、国際的に拡げていくことで、芸術・文化関連の人材の定着と関連産業の集積を促進する。
【提言3】財源の拡大
提言1で示したプラットフォーム運営の財源確保に向け、次の3つの検討を提言する。
- 宿泊税:税の使途は、受入環境整備として旅行者への必要情報提供の環境整備や情報発信事業に充当するとしている。大阪府におかれては宿泊税の税収の一定比率を「大阪の光」である芸術・文化振興を担うプラットフォーム運営のために使うことを検討頂きたい。
- 文化宝くじ:収益を芸術・文化の振興に充てるべく、「文化宝くじ」の実施を検討頂きたい。
- IR(統合型リゾート)の「カジノ収益」: IRのカジノ収益を、関西の魅力ある観光コンテンツ「伝統文化・芸術・歴史的遺産」をサポートする団体に対し資金協力することを検討頂きたい。
以上
平成29年(2017年)5月
一般社団法人関西経済同友会
芸術・文化委員会