年頭にあたって
あけましておめでとうございます。
皆様、お健やかに新春を迎えられたことと、お慶び申し上げます。
さて、昨年は、アベノミクスの3本の矢により、久しぶりに日本経済全体に明るい兆しが見えた年でした。昨年の年初には、為替レートが1ドル87円、10年国債の利回りが0.75%、日経平均株価が10,395円だったことを考えると、今の1ドル105円前後、長期金利0.7%、株価16,000円前後は、政府と日銀の経済金融政策の成果として評価できる結果です。しかし、この状態はリーマンショック前の水準に戻っただけであり、今後さらに経済が安定して成長していけるかどうかは、我々企業にかかっています。最大の課題は、グローバル競争を強いられる中、企業自身が本当に独創的、創造的な製品・サービスを生み出せるかどうかです。但し、失われた20年は一朝一夕には取り戻せません。良い製品、良いサービスを持続的に創造するには時間がかかります。中長期的な視点で我慢と度量のある経営と若者・女性が伸び伸びと活躍、チャレンジできる風土づくりが必要ではないでしょうか。
一方、政府には、こういった企業の取組みを後押しできる環境づくりを求めていきます。企業が中長期視点で基礎研究や技術開発に投資しやすい税制や財政支援、新しい挑戦・チャレンジを行いやすい規制緩和、グローバルに伍して戦える通商環境としてのTPP締結、ライバル国と同等水準の法人税減税、安心・安全・安価で安定的な電力供給を実現するエネルギー政策などです。また、震災後2年半を経過してなお、27万人が避難生活を送り、農業・水産業が60~70%しか再生できていない震災復興は急務です。風化と風評という“2つの風”の防止は、東北だけの問題では無く日本全体の最重要課題です。
また、海外に目を転じますと、中国や韓国との政治対話が進まない状態が依然続いており、米国を絡めた政治バランス、軍事バランスの先行きが懸念されます。安倍政権が安定的な政権基盤を築きつつある今こそ、日米とアジア周辺国との間にしっかりとコミュニケーションを取りながら、中長期的でお互いの国益に叶った地に足の着いた政策を実行して欲しいと思います。我々関西経済同友会も過去20年間以上、ハーバード大学とのシンポジウムを続けており、また、10年間以上、韓国の有識者・政府関係者との継続的な意見交換を行ってきましたが、政府の外交にのみ任せるのではなく、経済・文化・教育・スポーツ等の広範な民間交流を続けていくことが必要です。
大阪・関西においては昨春、グランフロント大阪がオープン、連日賑わいを見せるとともに、中核施設であるナレッジキャピタルでは産官学による新しい「知の交流」が国内外から注目を浴びています。今年もあべのハルカスの全面開業、USJの新アトラクション「ハリーポッター」オープンと、集客が期待される話題が目白押しであり、2021年ワールドマスターズゲームズ開催に向けた盛り上がりも関西一丸となってスタートさせねばなりません。この大阪・関西の勢いを最大限加速させ、都市力をさらにアップさせるためにも、地域主権型道州制に向けた取り組み、大阪府・市の行財政改革の実現は不可欠であり、我々としても積極的に協力していきたいと考えます。
今年も、国内外ともに課題の多い年になることが予想されますが、関西経済同友会は、会社や業界の利害を離れ、個人の資格で自由闊達な議論を行い、提言発信や活動を行ってまいりたいと存じます。関係各位におかれましては、引き続き、ご支援・ご協力を賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。
以上
一般社団法人 関西経済同友会
代表幹事 鳥井 信吾
代表幹事 加藤 貞男