年金改革関連法案を廃案とし、原点に帰っての本質論議を!
2004.05.28update
年金改革関連法案は、既に衆議院を通過、現在参議院厚生委員会で審議入りし政府・与党は6月上旬にも成立させようとしているが、本会は、以下により、当該法案を廃案とし、年金問題の原点に立ち帰っての本質論議の上、改めて抜本的改革案を来春通常国会に提出することを求める。
- 本会は、昨年11月に少子高齢社会を見据え、持続可能な年金制度を構築すべく、現法案の基本的仕組みである「段階保険料方式」に代わる抜本的な公的年金改革案を提言・公表した。
更に、同年12月には、現法案の基となった政府の年金改革案に対し、「単なる数字の辻褄合わせで、国民が求める将来不安の解消、世代間不公平の解消等に何ら応えるものになっておらず、膨大な過去不足を将来世代に押し付けるものである」との判断から「政府の公的年金改革の方向性に断固反対する」との緊急アピールを行った。
また同アピールにおいて、少子高齢社会に耐えうる年金制度を確立するため、未納者問題、基礎年金の制度間不公正問題、わが国の持続的成長と活力の大きな支えとなっている企業の負担増問題、などを視野に置き、広く国民に論議を起こし、制度の支え手である国民が真に理解と納得・受認できる、社会保障全体を含めた国民負担のあり方を明らかにすべきだと強く主張した。 - 然るに、今国会開催以降、国会議員の年金未納者の続出、更には年金問題の本質を議論せず今夏の参議院選挙睨みとも見える政局の現状は、国民が求める長期にわたる生活の安心と公正の基盤構築への期待を裏切るものといわざるを得ない。
その結果、直近の各種世論調査によれば、いずれも現年金改革法案の成立を見送るべき、或いは廃案にすべきとの意見が過半を大きく超える状況にある。 - 以上、現在の年金改革法案の内容及び進め方とも、全く承服し難い。本会は、このように根本的に問題がある本法案の成立により、将来に大きな禍根を残すことを強く危惧するものであり、審議の最終局面ではあるが、敢えて、本法案の廃案と年金問題の原点に帰っての本質論議、そして抜本改革案の早期成案化を断固として求めるものである。
以上
平成16年5月28日
社団法人 関西経済同友会
代表幹事 奥 田 務
代表幹事 松 下 正 幸